バスとギルの明順応の差(9月3日)

最近、これは発見と思うことがある。 これまでも何度か、飼育記録に書こうと思っていたのだが、ついつい忘れてしまっていたことがある。 当研究所ではバスとギルは屋外の車庫の中に水槽を置いて飼育しているわけであり、夜になると当然ながら、真っ暗の状態になっている。 しかし、珍犬しろを散歩に連れて行くとき、糞撮りや散歩用のロープなどを探すために車庫の照明をするわけである。 当然、水槽の中ではバスやギルなどが眠っている場合もあるわけである。 犬を連れて散歩から帰り、餌を与えるまでの20〜30分間は照明はつけたままであり、散歩から帰ってくる頃にはバスもギルも目を覚ましているようである。  犬に餌を与えている時、たまに、こいつらにも餌を与えてみるのだが、バスの顔の前に餌を落としてやっても、ほとんど気がつかない。 その点、ギルはよく見えているようで、昼間は恐ろしくて近寄れなかったちびギルまでが、バスの頭の上に浮いている餌(テトラクリル)を横取りしにくる。バスは見えないが、ギルの食べる音がするので、めくらのように餌をさがして動いている。しかし、この状態の時には餌を与えても、ほとんどギルたちの口に入ってしまう 。自然界でもこれと同じようなことが起きているのかもしれない。 昼から夜、夜から朝という明るさが変化するときの順応性はバスがギルと比較するとかなり劣っているように思う。
水槽でバスとギルを共存させてゆくときには、バスには明るいうちに餌をやり、ギルには夜に急に電灯をつけて、バスが見えないうちに食べさせるのがいいと思う。
電灯をつけてから30分くらいたっても、バスは餌を見ているのではなく、餌が水面に落下した音を頼りに、餌に食いついている様子がよくわかるのである。 暗がりでバスを攻めるという記事もたまに見るが、わが水槽での観察からは、夜のバスは視覚よりも音だとか水の波動で刺激して釣っているという考え方のほうが正しいように思う。
バスの眼球とギルの眼球との構造の差を研究している人がいないのであれば、こういう外来魚の研究テーマがあってもいいように思う。こんな研究している学者もどこかにいるのだろうが