まれにかまぼこなどを食べた消費者から、薬品臭、異臭がするとの指摘をうけますが、原因はなんでしょう?

最近、消費者から、「買って食べたら、薬品のような匂いがしたので気持ち悪い。原因を調べてください」というような苦情を受けることがあります。 製造者としての我々は、もちろん、原材料にそのような薬品臭を発生させるような薬品、添加物は使っておりませんし、仮に環境衛生の除菌などに使用している次亜塩素酸ナトリウムや、エチルアルコールなどが製品に付着したとしても、揮発性も高く、そのような苦情の原因となることは考えにくいのが現状です。
いろいろと調査しておりましたが、原料すりみに使われているイトヨリ、レンコダイ、キス、アマダイなどの中には、稀にこうした匂いのするものがあるようです。
その匂いの原因は、俗にいうところのカビ臭、泥臭といわれるもので、この匂いのもとはその魚の生息している海域にいる放線菌や、藻類が生産する物質(ジオスミン、2-メチルイソボルネオール等)によるものです。
養殖魚であれば、水質を正常に保つ処置や、数日間絶食させて「いけじめ」にするとそういった匂いをなくすことはできますが、天然魚の場合は、これといった対策はなく、魚の生息している海域の富栄養化、水温や水質の変化をうけて海水中にそうした菌や藻類が繁殖し、それを食べた魚などにカビ臭や、薬品臭が生じるといわれています。
現実には、原料処理段階で、それらの魚を分別することは不可能であり、その漁の海域、季節により状況は変化するものです。
したがって、現在では、そうした匂いをマスキングするような対策が一部とられているようで、料理に於いてするのと同様に、清酒やみりん、香辛料などを使って独特の魚臭を抑えるくらいしか方法がないようです。