キャリーオーバーの定義について教えてください。

食品にはいろいろの原料が使われます。この原料の中に入っていた食品添加物は最終食品に残ってきますが、その量がきわめて少なく、当然その添加物としての効果も発揮しないような場合があります。しかし、分析すると検出される場合があります。 これらの原料より持ち越された添加物のうち、表示を免除されるものをキャリーオーバーといいます。
キャリーオーバーとは
@ 原材料に対して食品添加物の使用が認められており
A その量が原材料に許可されている最大量を超えず
B 食品が原材料より持ち越された量より多くのその食品添加物を含まず
C 持ち越されたその量が、食品効果を発揮するに必要な量より有意に少ない場合
という4つの条件にすべて該当するもの
となっています。
【キャリーオーバーの実際例】
@ ビールの製造の際に使用されたコーンスターチやホップの中の亜硫酸
A せんべいの製造の際に調味に使用された醤油の中の安息香酸
B ドレッシングの主要原料であるサラダ油に含まれていた消泡剤としてのシリコーン樹脂
C ビスケットの原料配合中、少量使用されているマーガリンに含まれていた乳化剤や酸化防止剤

これらは原料中に含まれていた食品添加物で、たとえ最終食品に持ち越されても量が非常に少なくなり、もちろん最終食品として考えると効果を発揮しませんので、キャリーオーバーとみなされます。
かまぼこを例にとりますと、魚肉(すりみ)や調味料のような原料として用いられているものに元々使用されている添加物があっても、上記のような理由から加工助剤とみなされ、パッケージにそこまで表示しているとキリがないこともあり、こうした加工助剤には表示義務はありません。
 特に無塩すりみと呼ばれるものには、砂糖やソルビットのほかに、リン酸塩が添加されており、この場合のリン酸塩の働きは『冷凍すりみの日持ちを良くし、加水率が高まるので口当たりをよくし、砂糖との相乗効果が認められる』ということです。
リン酸塩そのものは、過剰に摂取するとカルシウムの不足を引き起こしたり、石灰沈着、骨を弱くし、鉄の吸収を妨げ、貧血を起こすなどの原因になりますが、原料魚(すりみ)に添加されているリン酸塩の量は極めて少なく(魚肉に対して0.2%程度)、しかも、かまぼこの全体組成からすると、極めて微量となり、製造工程の高温で消失するものもあると言われているほどなので、人体への影響はないと考えております。

※ただし、平成13年の食品衛生施行規則の改正により、アレルギーを引き起こすとされる特定原材料5品目由来の食品添加物を使用した場合は、キャリーオーバー、加工助剤により表示が免除されるものであっても、当該添加物名及び特定原材料に由来する旨を表示しなければなりません。