■ かまぼこにも亜硝酸は使われているのですか?

 昔、ヨーロッパでは肉の塩蔵に岩塩を使うと保存性がよくなるばかりでなく、肉の色や風味がよくなることが経験的に知られていました。岩塩のこの効果は岩塩に含まれる硝酸塩が肉汁中の微生物により亜硝酸塩になることが解明され、亜硝酸塩が使われるようになりました。
現在、日本ではハムソーセージなどの食肉製品の色調、風味改善、保存性の向上(ボツリヌス菌による食中毒防止)のために添加物として使用することが認められています。
また、すじこ、たら、いくらなどの水産加工品にも色調を鮮やかにして魅力を高めるために添加物として使用が認められています。
主に発色材(添加物)として用いられるのは、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムの三種のほかに野菜、果実に使用する硫酸第一鉄などがあります。
かまぼこには、食肉のように色を発色させても意味がなく、魚肉を水晒しすることで血合いなどを除去して製造することもあり、むしろ白くすることが重要であるので、こうした発色剤を使うことはありませんし、法的にも添加することは禁じられています。
 ただ、安全性という面では、亜硝酸ナトリウムなどの添加物そのものは、毒性や発ガン性を持っているわけではありません。
 また、硝酸塩そのものは自然界に多く存在しています。例えば、我々が日常摂取している野菜にも含まれています。 硝酸塩は微生物の働きで容易に亜硝酸に変化していきます。
 調査によれば、一人一日あたりの硝酸塩類の摂取量は平均16.5mgに相当するということですので、添加物から摂取される量は一人一日1mg以下(現在の食肉製品の亜硝酸塩の含有量は10〜20ppm程度である)とされることを考えると、添加物として摂取される量は天然由来の食品から体内に吸収される量に比べると、比較にならないほど低いといえます。
ですから、あまり亜硝酸塩そのものにヒステリックな反応をするべきではないでしょう。
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添加物として亜硝酸を添加していませんが、かまぼこなども硝酸性窒素で分析をすればいくらか分析値として数字がでてきます。
現在の日本の浄水処理では、硝酸性窒素を除去することは不可能です。したがって、魚を水晒ししたりする場合は、微量ですが、そうした成分がすりみに移る可能性はあります。
これを完全に除去するためには、逆浸透膜、脱窒素バイオリアクター、イオン交換樹脂などを通さないといけないといけないということになります。
しかし、こうしたすりみ製造の用水を水道水以上のレベルにすることそのものが、コストにもあわないことになりますし、意味もないことになります。
最近、野菜工場で栽培される野菜も、硝酸態窒素が、地物より高く検出され、多くのものがEUの規格ならオーバーしているようです。これは、肥料由来と使用する光源の波長などが原因と思われます。一方、昔、乾燥卵白を使った焼豚が発色したことがありました。これは、乾燥時の熱風源であるガスの不完全燃焼により、亜硝酸が卵白粉末に付着したものと、結論づけました。 すりみについては、検出されるとすれば使用水が原因である可能性が高いといえるでしょう。